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散骨の儀
鳥の囀りを目覚まし代わりに、今日もアラームに勝利。朝食を摂って、「散骨の儀」を行うべく、皿が嶺に登るための用意を。父なら前夜までに完璧に準備を整えるはずだが、慣れないことをすると逆に忘れ物などしてしまいそうで、いつも通りに直前の支度。それにしても、一昨夜の小学生男児の暴れようは相当だった。一切の手加減なく、全力で抵抗するものだから、こっちも必死で抑えつけたそのときの筋肉痛がいまだに少し残っている。直前の準備にしても、筋肉痛にしても、ただの言い訳な気がしないでもないが…。

いくつか父が愛用していた道具を借りて、迎えに来てくれた父の親友であり、登山仲間だったIさんとともに出発。途中、山へ行くときには必ずここでにぎり飯を買っていたというスーパーに寄って、先に到着してお弁当を買っておいてくれた叔母も一緒にピックアップ。当初参加予定だった姉は、先日に起こった不幸に心が折り合いを欠き、昨日欠席を表明。

「庭みたいなものだ」と言うのは、登った回数もそうだが、家からさほど遠くない場所にあるという意味も含まれる。1時間足らずで登山口に到着し、車を停めてトランクを開ける。小さな骨壷と、母が育てた桜草を、スコップや水入りペットボトルなど必要な道具と一緒に、父がライラックを植えた場所まで運ぶ。
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初めて目にするそのライラックは、想像より背丈が低く、それでも燦々と降り注ぐ陽光の下で、すくすくと元気に育っていた。枝に掛けられたタグには、父の字で「ライラック2005・4」と表記されていたが、母が言うには、最初に植えたのは確か今世紀明けて直ぐだったらしい。枯れたか取られたかして、再度植えたのが05年なのではないかと。だから母も、もっと大きな木になっていると思っていたみたい。
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人に踏まれないような場所を選んで土を掘り、ドキドキしながら骨壷を開ける。小さな欠片をいくつか手で摘み、母にあげたアッシュペンダントに納める。そして骨壷の半分くらいの骨を、土に埋める。深く大きな穴を掘るわけにもいかず、大雨が降れば流されてしまわないとも限らない。だけど、それでもいいのかなと。本来土に還るべく埋葬したり散骨したりするわけだから。
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土を被せた後は、ライラックのすぐ傍に、母が育てた桜草を自らの手で植え込む。みんなが見守る中、一言も発せず、一心に土を掘り、スコップを使って鉢から移植する。持参した三鉢全てを移植し終わったら、桜草とライラックに、ペットボトルの水を遣る。淡々とした作業。もっと感情が揺さぶられるのかと思った。涙が止まらなくなるのかと思った。実感が湧かないまま4ヶ月が経ち、実感が湧かないまま散骨の儀も終わってしまうのだろうか。
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母と叔母を残し、Iさんと山を登り始める。特に準備運動などはしないけど、身体にいきなり負担がかからないように、最初は過度なまでにゆっくりと歩く。数歩先を歩くIさんの背中に、父のそれは被らない。何がどう違うなんて詳しく説明する気にもなれないけど、ただ、もうどうしようもなく、違う。在りし日の父のことを、努めて笑顔で、途切れることなく話し続けてくれるIさん。それに応じて、ときには笑ったりもしながら、つい俯いてしまわないように、前へ前へと歩く。自分がどれほどまでに親不孝だったか、父がIさんに零した心配事や願いのいくつかを聞きながら思い知る。父がどれほど母のことを愛していたかも。
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頂上までの道程はあっけないほど緩く、それでもお腹は減ったので、叔母が買ってくれた弁当を広げる。母が作ってくれた握り飯とゆで卵、食後には父の淹れたコーヒー。そんなときもあったなと懐かしく思い出す。食べ終えて、先客が頂上を去るのを待ちかねるように、先ほどの骨壷を取り出し、半分ほど残しておいた遺灰を散骨する。皿が嶺の頂に吹く千の風になって、これからもずっと、見守ってくれますようにと願いながら。
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山を降りると、日傘を差した母と叔母が、あのライラックの傍のベンチに座って待っていた。足さえ丈夫なら絶対一緒に登りたかっただろう母から、「ご苦労様」と声をかけられ、小さく頷く。そして再度ライラックの傍へ行き、「また来るから」と声をかけて、どうか今度来るまで、このライラックと桜草が無事でありますようにと祈る。結局、いまだ実感を得られず。でもそれでも、父の願いを一つ叶えられたことに、ささやかな満足感を得て、今度は鳥海山に連れてってやるからなと心に誓い、不思議に穏やかな気持ちで家路についた。
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