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望月の下
mangetu.jpg
30分早退して羽田空港へ。来週月曜まで「散骨の儀」のため帰郷。

最終便で松山空港に着いたのが20時半。訳あって急遽上京中の姉が、車の鍵を預けてくれていたので、空港駐車場に停めてあった白いラウムに乗りこむ。

夕飯を用意して待っている母に、無事到着の一報を入れ、アクセルを踏み込む。

父が亡くなって二度目の帰郷。年末だった前回は、高速バスで松山駅に到着し、自宅には路線バスで帰った。懐かしさより不便さに辟易した帰り道だったが、今回は全く別の感慨が胸に迫った。

到着ロビーを抜けて、空港から出てすぐ辺りの路上で、ハザードを焚いている紺碧ラウムの影はなく、カーステレオから流れる野球中継を聞きながら、不良息子の帰還を待ち侘びる父の姿も、もちろんない。

色も年型も違うけど、同じラウムに乗って実家を目指す。でも、いつも堰を切ったように喋り始める父が、助手席にはいない。走行スピードやら車線変更の仕方やら、毎度の如くに口煩く、母の身体についての心配事を、あれやこれやと並べ立てる。不孝息子への嘆きは、とりあえず後回しにして。そして何より、山の話。一人で登った山、友達と登った山、息子と登りたい山。同じ車で、いつもと同じ道を走っているのに、景色が全く違って見える。空港から実家までの道程って、こんなに遠かったっけ。

主を失ってずっと空車だった車庫の門を開け、いまだ手馴れたハンドル操作で車を入れる。トランクから引っ張り出したスーツケースを抱え、夜の庭に降り立つと、春の風に乗って爽やかな花の香り。これは…と思った瞬間にセンサーが反応し、闇に咲く真っ白なライラックの花が浮かび上がる。

しばらく後に照明は消えたが、夜空には煌々と光る満月。

「願はくは 花の下にて 春死なむ そのきさらぎの 望月の下」

という西行の歌を思い出した。もう4月だけど。

散骨するのは、「皿が嶺」という山の某所。父が植えた、母の大好きなライラックの木の根元。月光の下で、悠然と咲き誇る白い花を見上げながら、父を想い、いよいよ三日後に迫った大きな儀式のことを想う。

テーブルの上に所狭しと並んだ母の手料理をたらふく食べて、我が風呂同然の「媛彦温泉」で疲れを癒す。冷蔵庫には、箇条書きされた母からの作業依頼書が貼りだされていた。あれを買って、あれをやって…。考えているうちに、あっという間に強力な睡魔が襲ってきた。
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