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百日紅
sarusuberi.jpg
霊標の代金を支払うために墓地へ寄り、買い物をしてから、夜は絶対混むと思ったので、早めに母と温泉へ。長距離バスの疲れが取れないので、マッサージもお願いして帰宅。そして一息つく間もなく、折角汗を洗い流した後なのだけど、一人山歩きに出かける。

天候不順や体調不安で、高い山に登ることはできなくても、帰省時には極力父と一緒に歩きに出ていた。「ちょっと歩きに行くぞ」と言っても、その「ちょっと」は2時間や3時間はぶっ通しで歩き続けることなるわけで、しかも小高い丘やら峠なんぞをすいすい歩く父に着いていくのは結構大変。

健康維持というより、登山本番のためのトレーニングとして、ほぼ毎日のように2~3万歩は歩いていた父。「散策」というよりは「探索」の体で、家周辺の山はもちろん、4、5キロ離れたところの山まで方々歩き回った父は、けもの道的な脇道にも精通しており、道なき道を踏み入ったかと思うと、「あっ!」と声をあげてしまうほど予想外の場所に辿り着いたりして、何度も驚かされてしまったものだ。

そんな父と歩いた道を、記憶を辿りながら、一人で歩いた。父のように、ふいに現れた横道を分け入ってはみるものの、行き場を失って引き返したり、小さな野良猫に導かれて進んだけもの道が、道後の歓楽街に続いていたり。

でもやっぱり、一人で歩くのは、本当に寂しかった。目の前を歩いていた、いつも追いかけていた父の背中が、ない。「父さん」といくら声をかけても、返事はない。薄暗い山道に、他に人影があるはずもなく、涙声になりながらも、語りかけ続ける。でも不思議なのは、そうやって語りかけた直後に決まって雨が降るのだ。ほんの数十秒だけ。夕立のように。傘なんて持たずに出たから一瞬焦るのだけど、鬱蒼と生い茂る木々がその役を果たしてくれるから、ほとんど濡れることはない。雨が止んで、しばらく歩いて、また語りかける。そうすると、また雨が降り始める。本当は、この道をまた一緒に歩きたかったんだろ。いや、違うか。こんな頼りない息子を遺して逝ったことを嘆いて泣いているのか。こういうことが幾度となく続いているうち、やがて陽は落ち、心配した母から携帯に電話がかかった。気がつけば、もう3時間以上も歩いていた。「もうすぐ帰るから」そう言って、足早に家路につく。

途中、瀬戸風峠から眺めた松山城と、瀬戸内の海を真っ赤に染める夕日が美しかった。その絶好スポットの足下に、恐らく父が植えたであろう百日紅の木が根を張っていた。父の大好きな真夏に花を咲かせるべく、懸命に冬を越そうと枯葉を纏って。
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